講演者: 中山 裕道 氏(広島大学大学院理学研究科数学専攻准教授) 日時: 7月 6日(金) 午後4時30分から  場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「余次元2例外極小集合を持つ力学系について」 要旨: 本講演では,力学系理論が何を目的に作られたのかという話題からはじめ,現 在世界中で取り組まれている問題の1つについてその進展を解説する.  力学系理論とは,一言で言えば,微分方程式を定性的に研究する分野をさす. 3つの天体の運動を調べる3体問題のように,よく知られた関数を用いて解を表 すことができない微分方程式が非常に多く存在する.ポアンカレは,これを発見 するとともに,そのような微分方程式について解を定性的に追跡することを提唱 した.これが力学系理論である.  力学系理論はもともと自由度が2の場合(余次元2のとき)を主に研究された が,その後難しさもあって,余次元1に主体が移った.円周上の微分同相写像, 2次関数族のカオス,1次元複素力学系などと目覚ましい発展をとげ,現在は, もともとの問題提起である2次元に研究の主体が移ってきている.  軌道を保つ閉集合のうち,包括関係について,極小なものを極小集合という. コンパクト空間上の力学系には,極小集合が必ず存在する.力学系を研究する1 つの方針として,この極小集合を調べればよいことがわかっている.余次元2の 場合,一見,非常に多くの種類の極小集合が存在するように思えるが,実際に は,それほど多く無いことが最近わかってきた.本講演では,局所連結な例外極 小集合の分類,力学系の微分可能性と極小集合の形との関係,余次元2例外極小 集合の構成について,最近の結果も含め解説する. --------------------------------- 共催: 青山学院大学 理工学会