青山学院大学 物理学科 コロキウム

2000年度 第1回

下記の通りコロキウムを企画致しました。講演者の方には、学生や分野の違う方にもわかるレベルから始めて下さるようにお願いしてあります。是非ともご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。

なお、今後の予定については www.phys.aoyama.ac.jp/seminars/ を御覧下さい。 また理工学部キャンパスへの交通についてはwww.phys.aoyama.ac.jp/maps/を御覧下さい。
 

(世話人・羽田野 直道・学外からは03-5384-2642・学内からは23107)



講演者: 杉原 稔 氏(Gerhard-Mercator Universitaet,Germany)

日時: 4月14日(金) 午後4時半から
場所: 青山学院大学 理工学部(世田谷キャンパス) 一号館 5階 1538号室

講演題目: タンパク質の構造がどのように chromophore に影響するか?

要旨:Rhodopsin とは、網膜中にある丸い棒状の細胞で、光に敏感な色素 chromophore(ほぼ retinal と同義)を持っている。 retinal は 11-cis というゆがんだ形を持つが、光を受けると、より素直な all-trans 形に変形する。 (all trans-retinal は、・・・C=C-C=C-・・・の結合がすべて trans でジグザグに並んだ分子だが、11 cis-retinal では、11 番目の炭素原子の C=C 結合が cis になっており、歪んでいる。) この変形が引き金となって、視覚カスケードと呼ばれる一連の触媒反応連鎖を引き起し視神経ニューロンの興奮につながる。

共鳴ラマン、核磁気共鳴などの実験は、11-cis retinal がタンパク質のポケットの中で、たいへんねじれた構造をしていることを示した。 このポケット内の相互作用の種類が良く分かっていないので、このような retinal の形の理論的な説明は難しい。

我々の simulation では、ポケット内で形態がよくフィットするように、retinal が形状変化をすると仮定した。 この ab initio molecular dynamics simulation により得られた構造は、実験により観測される非常にゆがんだ形態とよく一致する。


共催・青山学院大学 理工学会 物理学分科会